学長x著名人対談

第7回 会計士事務所所長 小谷野 幹雄氏×高嶋美里

小谷野 幹雄氏00

小谷野公認会計士事務所 所長
小谷野 幹雄氏

公認会計士・税理士・証券アナリスト・MBA。
早稲田大学4年在学中に公認会計士2次試験合格。
ニューヨーク大学経営大学院(NYU)でMBA取得。先端のファイナンス理論を数多くのウォールストリートの実践家から直接学ぶ。
その後、小谷野公認会計士事務所を東京都港区青山に開業。会計事務所としてISO9002(品質国際規格)取得。英国機関から税理士サービス業務について認証。
2007年に東京都渋谷区代々木に事務所を移転。
2011年 ISO27001認証取得予定。

現在、複数の東京証券取引所一部上場会社の役員をはじめ、上場REIT投資法人の監督役員、FP1級技能検定国家試験委員、金融窓口サービス技能検定国家試験委員、各種公益法人の役員等、社会貢献分野でも活躍。

会計、税金のことは、わからなくて普通

小谷野 幹雄氏01
高嶋
皆そうなんですけれども、「税金」とか「会計」とかすごく弱いんですよ。まったく何が何だかわからない、という方がすごく多いんです。最初から会社をやっている、というわけでもないので。
小谷野
ええ。
高嶋
アフィリエイトの場合、副業から始めるので…。それで、いきなり収入が上がってしまったときに、税金がいきなりいっぱいボンッときて、どうしてだろう?という戸惑いを覚えるんですね。私を含めてなんですけど。素人でもわかるような、「会計の知識として一番押さえて おくべきポイント」みたいなものはありますか?
小谷野
ポイントはいろいろありますが、まず最初にですね、「会計がわからない」「税金がわからない」、これは全然恥じる必要はない。普通そうです。
高嶋
そうですか(笑)?
小谷野
どんな上場会社の社長であろうが、一代で大きな会社を作った社長さんや起業家の方も皆そうです。会計や税金に詳しい人なんて、まずいません。
高嶋
ああ、ちょっと安心しました。
小谷野
それがもし違ったら、我々の仕事はもうないってことです、逆に言うとね。専門家の仕事はいらないって話ですから (笑)。僕は詳しくなくちゃいけませんが。そこはもう完全に分業の世界です。事業をやられる方、それからバックオフィスで管理系―会計にしても税務にしても、経理にしてもやられる方。そこはしっかり分担を分ける、考え方を分けて、外のアウトソーシングを使っていくという考え方でまったく構わないんじゃないかな。
高嶋
そうですか。

「倫理」だけは、決して忘れてはならない。

小谷野 幹雄氏02
小谷野
僕は、専門知識は全然いらないと思うんです。これは専門家に聞けばいい。場合によっては、税務署や役所さんだって電話で相談窓口がありますから、そこで聞いていただければいい。ただ一つだけ絶対に間違ってほしくないのは、「倫理」なんです。
高嶋
倫理。
小谷野
皆さま方はご商売をされる。副業とはいえご商売ですからね、社会に対して影響を与える、社会として関わっていく、ということをやるわけですから、そこの「倫理」のところだけは揺らいでほしくない。それはご商売の中身もそうですね。騙したりしたら二度と商売できな いわけですけども、それと同じことです。
高嶋
ええ。
小谷野
だから会計・税務うんぬんということですけども、「悪意をもって何か悪いことをする」こと。
高嶋
誤魔化すとか?
小谷野
これだけは絶対にやらないこと。これが僕の最大の助言です。細かい難しいことは専門家に任せると。そこを間違って、せっかく志も高く頭もよく、チャンスにも恵まれ、事業も拡大できる、もっと稼げる、といった人たちがどれだけ沈んでいったか。僕は目の前でいっぱい見ているわけです。
高嶋
なるほど。
小谷野
一つの小さな不正、よこしまな考え方のせいで、その人のすべてが失われてしまう。場合によっては周りを巻き込んで失ってしまう。生涯一回の悪いことのために、その償いをずっとやっている人がいる。
高嶋
「悪いこと」というのは、お金の問題についてですよね?
小谷野
はい、税金という問題ひとつについて。これはもう、法律ですし、逮捕されます。起訴もされますから。はい、税金という問題ひとつについて。これはもう、法律ですし、逮捕されます。起訴もされますから。
高嶋
税金を誤魔化すとか、そういうことですよね。
小谷野
そうです。そんなことで自分の人生、それから起業家・事業家としてのいろんなものを失ってほしくない。
高嶋
はい。
小谷野
一つは絶対に「倫理」です。そこだけを間違ってほしくない。どんなに難しい問題が目の前にあったとしても、「倫理」だけは――いいこと、悪いこと――そこだけは、きちんとした判断をしていただきたい。

たった一度の悪意が、取り返しのつかない事態に。

小谷野 幹雄氏03
高嶋
知識がないために、悪いことをするつもりじゃなく知らずにやってしまうことがあると思います。その辺のところで、専門知識がない状態で陥りやすいミスみたいなのはありますか?
小谷野
まったくそういう意志はないけど、「あ、そうなんだ。節税だと思ったけど脱税だったんだ」、って話はいっぱいあるわけです。
高嶋
そうそう、その辺です。
小谷野
その場合は、過ちが起きたとしても胸を張っていてください。なぜかというと、人は間違いを犯すわけです。間違いがあれば、そこから学べばいいわけです。そして間違ったことは、過去のことでも正せばいいんです。それで終わる話なんです。
高嶋
なるほど。
小谷野
だけど、そこにもし一点でも曇りがあれば――悪意があった、ということになると、そうはいかないわけです。それは、たった一回でもレッドカード、退場になります。社会というところから退場させられるわけです。
高嶋
もし悪意がなくてやってしまった場合というのは、許されたりするのですか?
小谷野
もちろん、「誰が見てもこれは悪意があるだろう」というものを、悪意がないと主張してもだめです。ただし、本当に知らなかった、ということも多々あります。まあ、色々なケースがあると思うんですが、「え、これって経費じゃなかったの?知らなかった」みたいな話があるわけです。
高嶋
そうですよね。
小谷野
それをもって、その方の社会人としての命が抹消される、といったことはないです。
高嶋
例えば、そういったことでよくあるケースというのは、どういう間違いが多いんですか?「これ経費じゃなかったの?知らなかった」というので、一番多いケースとして、具体的にどんなものがあるんでしょうか?
小谷野
そうですね、アフィリエイトをされている皆さん方の場合でいうと、やっぱり「経費」じゃないでしょうか。
高嶋
経費にしてはいけないものを、経費にしている?
小谷野
ええ。明らかに「経費にならないだろう」といったものが経費に入っていたりとか。
高嶋
それは飲食代とかそういうものですか?
小谷野
いえ、もっと幅広く、あらゆるものです。経費として領収書をお集めになって、それを全部経費化するという方も多 いと思うんですが、その中できちんと選別をしないで「不注意」で入れてしまう。そこで悪意があって入れてしまったらダメだということです。不注意で入って いたものについては、修正をして、きちんとした利息も払わなくてはいけません。ただしそれをやれば、その人の経歴に傷がついたりすることはないです。
高嶋
知識がないために、それが経費になるのかどうか判別がつかないものというか、ちょっと迷うようなときってあるじゃないですか。
小谷野
それはもう、本当に迷われた時はご自分で判断されず、役所でも専門家にでも聞けばいい。
高嶋
小谷野
全然恥じることでもないですし、そのための窓口は、行政含めて専門家も数たくさんおりますのでね。それはきちっと確認していただければいいんじゃないでしょうか。
高嶋
ああ、はい。
小谷野
「うっかり」という問題と、「悪意・意志をもってやった」ことは、いくら「私知りませんでした」といっても、外観上明らかにそれが通らないケースが、圧倒的に多いんです。
高嶋
そうですね。
小谷野
「知りませんでした」と言って、「無理もないよね」、と言われるケースと、「そんなことあるまい」、というケースがあって、後者の方は大きな問題に発展してしまう。
高嶋
アフィリエイターの場合、一般常識に欠落している人が多いんです。なかなか社会に適合しない人が多いので、多くの間違いを犯しやすいんですよね。例えば、「何でも経費になるよ」とおっしゃる税理士さんと、すごく厳しい税理士さんといらっしゃると思うんです。その辺の個人の判断で迷う部分があるじゃないですか。そうしたときに、甘い税理士さんの言うとおりにやっていて、「あ、実はダメだった」ってことはあるんですか?
小谷野
まあその方がどういう志をもつかなんですけど、今の話は「見つかるか見つからないか」という、次元が違う話だと思うんです。例えば税理士さんでも、出した領収書の中も見ることなく、全部単純にアルバイトさんが電卓叩いて集計して出すところもあります。でも税理士事務所に悪意なんてないわけです。
高嶋
そうですよね。
小谷野
お客さんから経費の領収書として預かったのだから、経費として全部集計しました。でも、中身を見ると間違いだらけという。だけどそれは、税理士さんの問題というよりは、経費として預かったものを精査なんてしませんよ、というスタンスだということです。そういう方の場合は、「甘い税理士さん」と映るかもしれない。
高嶋
なるほど、そういうことなんですね。

法人化することで、税金がほぼゼロになることも。

小谷野 幹雄氏04
小谷野
だから、そこにリスクはいっぱいあるわけなんです。だけどそのリスクを一体誰が負うかというと、そのアフィリエイターの方が全部負っていると。ここを絶対に間違えてはいけません。甘い税理士さんがいい、なんてとんでもない。リスクや責任は全て本人に戻ってくる、ということをきちんと認識していただく必要があります。
高嶋
そうすると、すごく一生懸命やって収益を上げたのに、どんどん税金で何百万も減ってしまうということが、非常に辛いじゃないですか。どれくらいまでの経費っていうのが、常識の範囲内として認められるんですか?
小谷野
それは非常に難しい質問で、それはもう業態によって全く違いますから答えはないんです。ただし、普通にやってい て「税金が高いな」と思えば、少し考えるということ。少し考えるとはどういうことかというと、自分が実際にやっている副業について、「税金の負担がこんな に大きい」と思うのであれば、きちんとした法人を作るですとか。法人でもいろんな形態があります。簡単なものから複雑なものまで。そういったものを作って 税金を減らす、といったことを考えればいいんじゃないでしょうか。
高嶋
法人を作った方が税金は減るんですか?
小谷野
大方の場合は減ります。ただし、その方によって特性がありますから、ちゃんとそれはシミュレーションをしていただくことが必要になります。そうすると、税負担がほんとに安くなるケースがあるんですけれども、そこは胸張っていいんです、別に脱税でもなんでもないわけ です。正規の自分の資産を守る、資産防衛でもあるわけですね。そういったことをやればいい。
高嶋
例えば、今おっしゃった例の中で一番税金が安くなった例としては、どれくらいのものがあるんですか?法人化することで。
小谷野
それは難しいですが、極論を言うと、払っていた税金がゼロになることだってあるわけです。ほぼゼロに近くなっちゃうことが。
高嶋
それは正しいことをしてそうなる?
小谷野
正しいことをして、極端に、要するに一桁変わってしまうこともある。
高嶋
そこまで変わるんですね。
小谷野
変わります。今まで何百万も払っていた税金が、ある日100万もいかなくなっちゃうとかね。桁が落っこっちゃうとか。そういうケースだってあるわけです。
高嶋
それはやはり、専門家の方に相談するとそういう風にできる、ということですね?
小谷野
でもしっかりシミュレーションしなければだめですよ。ただ作ればいい、という話じゃない。作ってからどうするか、ということが大事ですからね。
高嶋
そうですね。
小谷野
そういったものは、胸を張って堂々と人に言える節税策というわけです。脱税でもなんでもない、租税回避でもありません。ちゃんとした節税です。役所からも何のお咎めもありません。でも税金は激減してます。
高嶋
それは素晴らしいですね。
小谷野
こういったことを考えるということです。正規の方法でいってほしい。僕は役所の人間でもないし役所の手助けをする気も毛頭ないけれども、悪い気持ちが腰を上げて、「この売り上げはどうせわからないから抜いてしまおう」みたいなことを、一社会人として一経済人として、そんなことは社会で仕事してお金を稼ぐのであればやってほしくない。
高嶋
そうですよね。
小谷野
そこから転落人生が始まる。
高嶋
そこは誰が見てもわかる点だと思います。そのほかに、悪気なくやってしまうっていうのが一番怖いのですが。

経費の事業関連性 社会通念という判断基準

小谷野 幹雄氏06
高嶋
結婚式などでもらったお祝いには、税金ってかからないんですか?
小谷野
かかりません。一般の社会通念上の「お祝い」。例えばお歳暮ですとかお中元、そういったものには、税金がかかることはありません。
高嶋
なるほど。その辺のところの判断が難しいですね。どこまで税金がかかるのか、どこまで申告するのか。
小谷野
とりあえず、事業をやって事業の中で入ったものは、そんなに迷われないと思うんですよね。
高嶋
事業の中ではそうですよね。
小谷野
日常生活の中ではたくさんあるんですよ。例えば、おじいちゃんが子供の授業料を出してくれたけど、贈与税がかかるのか?とかね。そういうような、日常的な中ではいっぱい疑問があると思うんです。
高嶋
ありますよね。
小谷野
はい。この場合、社会通念の枠の中って意味で、「おじいちゃんが授業料だしてくれた」っていうのは、生活家事費とも言える。食事行っておじいちゃんにおごってもらった、というのと同じレベルとも言えるし、贈与税はかからない。
高嶋
だから、お小遣いもらっても税金かかるのかな、とかどんどん不思議に思ってきます。
小谷野
たくさん色んな疑問があると思うんです。「おじいちゃんからお年玉で一万円もらいました。何か問題ありますか?」という場合、これは問題ないです。でも、「おじいちゃんにゴマすって、一千万円もらいました。でもお年玉だし、桁が多いだけです!」といっても通りません。
高嶋
通りませんよね。
小谷野
そう、通らない。税金払いなさい、って話です。
高嶋
金額によるってことですよね。
小谷野
そうなんです。だから、高嶋さんがおっしゃるように判断がとても難しい。
高嶋
難しいですね。
小谷野
ただ、事業の中では、どれが売り上げでどれが経費か、というのはある程度絞れる。
高嶋
ええ。例えばお付き合いしている事業先の方が結婚されたから、会社としてご祝儀を出すというのは、経費になるんですか?
小谷野
ええ、そういったものは交際費でしょうね。売り上げを得るための交際費。個人事業主であればそんなに気にする必要はないですが、法人だと全額経費ってわけにはいかない。
高嶋
そうなんですか?本当に難しいですね。
小谷野
まあ一部ですけどね。ただ、事業性に関連している経費かどうかってところが判断ですから。一部が経費に入らない交際費もある。
高嶋
わかりました。

わからないことは、専門家に聞く。

小谷野 幹雄氏05
小谷野
まあ、わからなかったら、そのために専門家がいるわけですから。簡単にわかる話でしたら専門家は存在しないわけで(笑)。
高嶋
そうですよね(笑)。
小谷野
ええ。皆さん税理士さんなどに聞くとか、場合によっては役所に聞く。電話がつながるかわかりませんが、一応役所もそういった相談ダイヤルというのを設けてるところもあったりします。
高嶋
どれくらいの収入がはいるようになったら、税理士さんや会計士さんにお願いすればいいのか、そこが皆さん迷われているポイントだと思うんです。
小谷野
規模ですか。「金額的に幾ら」、という基準はないですね。でも専門家の使い方として、例えば、「非常に難しいこ とをやっていて判断に迷う」場合や、「最初の一回はプロの話を聞いて、どういうようなものが収入や経費かというところを一回把握し、規模がそんなに大きく なければ翌年自分でやってみる」といった相談の仕方も考えられます。
高嶋
「幾ら以上だったら法人化がいい」とか、そういうところで迷うと思うんです。
小谷野
法人化については今日シミュレーションもあると思うんですが、何百万単位での所得でも、十分効果が違ってきますので、そこをご覧になっていただくといいのではないかと思います。
高嶋
今日は色々ありがとうございました。
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